(2008年12月7日 産経新聞)
【ベルリン=黒沢潤】欧州連合(EU)の議長国、フランスのサルコジ大統領は6日、ポーランド北部のグダニスクで、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世と会談した。大統領は会談後の会見で、チベット情勢に関するダライ・ラマの懸念を欧州が共有していると強調。これに対し、中国は激しく抗議した。
サルコジ大統領とダライ・ラマの会談は、約30分にわたって行われた。同大統領は会見で、会談がフランスと中国との関係悪化につながるとの懸念について、「(中国側が)事態を大げさにしようとする必要はない」と強く牽制(けんせい)。その上で、「(ダライ・ラマの)懸念を欧州も共有している」と強調した。フランス通信(AFP)によれば、これまでEU議長国の首脳がダライ・ラマと会談した例はないという。
サルコジ大統領は「ダライ・ラマはチベットの独立を求めないと会談で述べるとともに、私も中国とダライ・ラマの対話の重要性を説いた」と強調した。ダライ・ラマは、大統領の北京五輪開会式への出席も支持したという。
中国は今回の会談に猛反発している。ロイター通信によれば、中国政府は「会談は実に思慮の浅い行為だ。中国人の感情だけでなく、中仏関係をも傷つけた。フランスはチベット問題に関して、ご都合主義的で、近視眼的な行動をとった」と厳しく非難した。
ただフランス政府高官によれば、中国国内では6日現在、目立ったフランス製品のボイコット運動は起きていないという。