2024 年 12 月13 日
ブリュッセル：在中国EU（欧州連合）代表団は12 月10日、国際人権デーを記念する声明を発表し、世界中での人権保護に対するEU のコミットメントを再確認しました。同声明では特にチベットに言及し、中国における人権侵害に関する懸念が強調され、市民的、文化的、政治的自由の悪化に対するEUの深刻な懸念を表明しました。
EUは、チベット人居住区において言論、表現、移動、集会の自由が厳しく制限されていることを強調しました。同声明はまた、チベット人の海外渡航が現在も制限されており、 パスポート取得の制限や、ラマ僧などのチベット人宗教指導者の移動が厳しく制限されていることを指摘しました。
また、EUは、宗教的実践の監視や制限など、宗教的自由の抑圧に対する懸念を表明しました。チベット仏教はますます国家の管理下に置かれ、宗教的実践は中国共産党のイデオロギーに沿ったものとなっています。声明では、チベットの子どもたちが強制的に家族から引き離される寄宿制学校の設立が、チベット文化と言語のアイデンティティを守るうえで重大な懸念であることも指摘されました。
EU代表団は、ゴロクにあるジグメ・ギャルツェン民族職業学校など、チベット語で教育を行う学校の閉鎖を挙げ、チベットの言語や文化を抑圧しようとする動きに警鐘を鳴らしました。このような閉鎖は、中国語教育の推進とともに、文化の抹消につながる危険性があるとしています。
EUは、基本的権利を行使したとして恣意的に拘束されている 6 名のチベット人政治犯 （チャドレル・リンポチェ、アニヤ・サンドラ、ゴ・シェラブ・ギタソ、ゴログ・パルデン、セムキ・ドルマ、タシ・ドルジェ）の即時無条件の釈放を再度求めました。また、公正な裁判、「指定場所での居住監視」（RSDL）などの慣行の廃止、拷問や不当な扱いの停止の重要性を強調しました。恣意的な拘束に関するEUの懸念は、チベットの政治犯、特にチベットの権利や独立を平和的に主張したために逮捕された人々にまで及んでいます。
EU代表団はチベットとの国際的な関与の重要性を再確認し、状況を監視し対話を促進するために国際社会および市民社会団体のさらなる訪問を奨励しました。今年6 月には、第39 回 EU・中国人権対話の一環としてチベットへの訪問がなされ、この地域における人権問題の提起に対するEUの継続的な関心が示されました。
結論として、2024年国際人権デーに関すEUの声明は、チベットの人権状況に対するEUの継続的な懸念を強調しています。代表団は中国に対し、チベット人の権利を尊重し保護するよう求め、文化の保存、宗教の自由、自己表現の権利の重要性を強調しました。また、中国が国際的な人権メカニズムの権利により建設的に関与し、チベット人が自由に宗教を実践し、文化的アイデンティティを維持できる環境を整えるよう求めました。
声明の全文はこちらからご覧いただけます。
（翻訳：くぼ）