(2011年2月11日 インド ニューデリー )
先週金曜日、インドの警察当局は、北インドの本拠地で先月135万ドルの現金が発見されたかどで捜査中だった、チベット仏教第三の指導者の嫌疑を晴らした模様。
プレス・トラスト・オブ・インディア通信社によれば、ヒマチャル・プラデシュ州のラジワント・サンドゥ事務次官は、カルマパ猊下の僧院で捜査中に発見された現金は、信徒からの布施であったと述べた。また同次官は、カルマパ猊下は僧院の財務管理関与しておらず、この金銭の出所とは関わりがないとも述べた。
同通信社は次官が「カルマパ猊下は敬愛するべき仏教指導者であり、州政府は仏教の宗教領域に干渉する意図はない」と述べたと報道した。サンドゥ次官の直接のコメントは得られなかった。
カルマパ猊下(24歳)は、2000年にチベット本土から亡命。以降、1959年に亡命したチベット亡命政権の宗教的首長であるダライ・ラマ法王が本拠としているダラムサラ近郊のシダーリにある僧院に在住している。
先週、州警察はカルマパ猊下の側近による布施の取り扱いについて、インドの税法および外国為替法違反の疑いがあるとして、捜査を開始した。警察および税務当局は、ギュトー密教寺院を家宅捜索し、カルマパ十七世ウゲン・ティンレ・ドルジェとその側近に、金銭の出所について二度、尋問を行った。
カルマパ猊下はインド中のチベット人および仏教徒から敬愛されているだけに、こうした捜査は前例がなく、驚きをもって受け止められた。インドはこれまで、ダライ・ラマ法王をはじめとする亡命チベット仏教指導者たちを匿い、受け入れる亡命の地となるべく、多大な努力をしてきた。
カルマパ猊下は中国から送られたスパイで、亡命チベット仏教徒たちを煽動しようとしているとするインドのメディア報道を、カルマパ猊下の事務所は完全否定してきた。中国政府はチベット独立を推進するダライ・ラマ法王、問題を起こす人物として非難してきた。ダライ・ラマ法王からチベット第二の宗教指導者パンチェン・ラマに任命された少年は、1995年に失踪し、その直後に中国はもう一人の少年をパンチェン・ラマに任命している。
(ニュース元:Associated Press)
(翻訳:吉田 明子)