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ダライ・ラマ法王、ワシントンD.C.にて長寿祈願法要とオバマ大統領会談

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(2011年7月16日 ワシントンD.C.)

ワシントンD.C.:2011年7月16日、ダライ・ラマ法王のワシントンD.C.滞在も残すところ6日となったこの日、まずダライ・ラマ法王から、参加者の長寿を祈願して白ターラー菩薩の祝福が授けられた。

続いて今回の法会の主催者による、ダライ・ラマ法王の長寿を祈願する儀式が執り行なわれた。

カロン・トリパ(内閣首席大臣)サムドン・リンポチェ教授は、ダライ・ラマ法王の人類社会への貢献を称えるとともに、ダライ・ラマ法王の献身が国際社会からも高く評価され、数々の賞が授与されてきたことについて語った。

主催者によるダライ・ラマ法王の長寿祈願の儀式が終わると、ダライ・ラマ法王は謝意を身振りで示し、チベット仏教最高指導者としての見地から次のように語った。

「教えを授ける者の寿命は、教えを授かる者の熱意や信頼と縁起します。みなさんと私はこの数日間の法会の中で影響を与えあい、温かな気持ちと縁起を育みました。つまり、これが教えを授ける者の寿命と縁起するということなのです。

私は、シャーンティデーヴァの“虚空が存在する限り、命あるものが存在する限り、私も存在し続けて、この世の苦しみを取り除くことができますように”という祈りの偈(詩)をとりわけ愛しています。私の影響が良い結果となっている方たちが少なからずおられるようですので、私もできる限り長生きすることに決めました。健康状態は良好ですし、医師からも、76歳にしては非常に若い健康状態だといわれています」

ダライ・ラマ法王はまた、参加者が教えに真剣に耳を傾けたことに謝意を示し、次のように述べた。「長い年月の中で見れば、数日間の教えなど何の意味もないことです。大切なのは、意味のある人生となるように努力することです。来世を信じていようといまいと、大切なのは、より良い人生を築いていくことなのです。思いやりのある有意義な人生を築くこと、これを人生の目的とすべきではないでしょうか」

さらにダライ・ラマ法王は、人生の不思議について次のように語った。「今回の法会を通して精神に刷り込まれた縁起は、現世、来世のみならず、未来永劫持続します。私はみなさんのことを忘れません」

そして、自身のことを「地球で暮らすひとりの住人」と述べてから、「ひとりひとりが幸せな人生を送れるかどうかは、地球全体が幸せであるかどうかにかかっています。ゆえに、この地球をより良い場所とするために、ひとりひとりが真剣に、地球規模で考え取り組んでいかねばなりません」

最後に、ガルチェン・リンポチェからダライ・ラマ法王に『Drikung Chetsang Rinpoche’s history of the Emperors of Tibet』(英語版)が贈られた。

続いて、今回の法会の主催者である米国首都地域チベット人協会のカルデン・ロドエ氏より閉会の辞が述べられた。カルデン・ロドエ氏は、「世界中で争いや自然災害の不幸が起きている今、このイベントを通して思いやりや調和という前向きな力を生み出したかった。このイベントを催したことで功徳が積まれたとするならば、それが何であれ、米国と米国民をはじめ、生きとし生けるすべてのもののために捧げたい。ダライ・ラマ法王が今回の法会を通じて蒔いてくださった思いやりと愛の種が、私たちひとりひとりの心の中で育ち続け、これから向かう先々で花開き、この世界がより良い場所となることを願っている」と語った。

カルデン・ロドエ氏はまた、ダライ・ラマ法王と参加者への報告として、今回のイベントが大変な反響を呼び、予想を遥かに上回るチケットの売り上げと募金が寄せられたことを伝えた。

今回の収入は599万ドルで、経費は404万ドル。195万ドルの黒字となった。
195万ドルの内50万ドルは、ダライ・ラマ法王事務所の意向に従い、トロントで計画中のチベット・仏教研究センターに割り当てられる。チベット・仏教研究センターは、北米大陸における仏教・チベット学の専門機関として、あらゆる来訪者を対象にチベットの文化・哲学・伝統に関する理解や知識を深める機会を提供することを目的とするセンターである。2010年4月、カナダ政府は、チベット・カナダ文化センターの設立のための助成金を出すことに同意した。これを受け、チベット・仏教研究センターもチベット・カナダ文化センターに入居することとなった。しかし、マッチングファンドの締め切りが今年の10月に迫っているものの、トロントのチベット人コミュニティには必要とされている額の資金を集めるだけの時間が残されていない。今回50万ドルが贈呈されることにより、チベット・仏教研究センターの設立が実現可能となり、同時に、チベット・カナダ文化センターもカナダ政府のマッチンググラントを受けられるようになる。

残り分については、ダライ・ラマ法王事務所、2011年世界平和のためのカーラチャクラ実行委員会、米国首都地域チベット人協会の三者間で綿密な協議が行なわれ、30%が、首都ワシントン、米国、諸外国の慈善事業活動に割り当てられることとなった。これには、東アフリカ諸国で続いている飢餓の救済援助金や東日本大震災の義援金も含まれている。
首都ワシントンにおける支援先には、ホームレス救済などを行なっている地元の慈善団体、ブッカー・T.パブリック・チャーター・スクール(Booker T. Public Charter School for the Technical Arts)、動物愛護協会が選ばれている。ダライ・ラマ法王は2005年11月にブッカー・T・ワシントン・スクール(Booker T. Washington School)を訪問。生徒の大半が恵まれない環境で育ちながらも、懸命に勉学に励んでいるすがたに感銘を受けられた。

同じく30%が米国首都地域チベット人協会に割り当てられ、全チベット人コミュニティに関わる教育・文化プロジェクトの資金として活用される。

残りの40%は、ダライ・ラマ法王が2009年に創設したダライ・ラマ信託基金に割り当てられる。ダライ・ラマ信託基金は、創設者と一般市民の慈善的献身によって作られた財源としてニューヨーク州に登録された非営利慈善機関である。チベット人の福祉の向上、チベットの文化・伝統の保護促進などチベット人とチベット文化に深く根ざした活動のほか、チベット人学生の教育支援、リーダーシップ開発などを行なっている。また、福祉が行き届いていないコミュニティの支援・救援のほか、地球規模での普遍的責任感の促進、科学と宗教の対話の促進にも取り組んでいる。

次に、内閣首席大臣サムドン・リンポチェ教授を称えるプログラムが始まった。北米在住のチベット人を代表して、ロブサン・ニェンタック・ザユル代表より、サムドン・リンポチェ教授の「チベット民族に対する無私の貢献」を称えて賞が贈られることが発表された。

またこの賞に因み、北米チベット人協会は「サムドン・リンポチェ奨学金」を設立することを決定、博士号取得を目指すインド在住の5人の優秀なチベット人学生を援助していくことが発表された。北米チベット人協会はこの奨学金としてすでに29, 882ドルをチベット亡命政権文部省に寄付している。

北米のチベット議会議員のノルブ・ツェリン氏、ディッキー・チョヨン女史がチベット語と英語で表彰状を読み上げ、「改革革新のリーダー」賞が、内閣首席大臣サムドン・リンポチェ教授に授与された。

ダライ・ラマ法王は、ホワイトハウスに向けて出発し、オバマ大統領との45分ほどの会談が行なわれた。 会談に先駆け、オバマ大統領は二人の愛娘をダライ・ラマ法王に紹介した。(詳細は別記)

ダライ・ラマ法王は昼食後、NBCテレビのアンカーウーマン、アン・カリー氏のインタビューを受け、オバマ大統領との会談、ダライ・ラマとしての転生、チベット・中国間の対話などについて語った。この模様は、7月18日の「Today Show」で放映される。

その後、ダライ・ラマ法王はベライゾン・センターに移動し、カーラチャクラの砂曼陀羅を解体する破断の儀を執り行なった。破断された砂曼陀羅の一部は首都ワシントンの南東に位置するヤーズ・パークを流れるアナコスタシア川に流された。聖なる砂を川に流すこともまたチベット仏教徒にとっては祝福だからである。ダライ・ラマ法王は、ホテルに戻る前にもう一度ベライゾンに戻り、最後の祈りを捧げた。

ダライ・ラマ法王は、2011年7月17日にワシントンD.C.からシカゴへ移動後、「信仰の架け橋(Bridging the Faith Divide)」と題して神智学協会が主催する2日間のプログラムを行なう予定。

 


(翻訳:小池美和)