ベットの主張──チベットが中国の一部という歴史的根拠はない
終わりの見えない中国・チベット問題。
その始まりと現状、そして将来……
結局、チベットはどうしたいのか?
ダライ・ラマが提唱する『中道のアプローチ』とは?
チベット問題の全てがこの一冊に! !
- 特別寄稿 / ジャーナリスト 櫻井よしこ
- まえがき / チベット亡命政権 首相 ロブサン・センゲ
- 日本語版出版に寄せて / ダライ・ラマ法王日本代表部事務所 代表 ルントック
- 第1章 燃えるチベット:チベットの焼身抗議
- 第2章 チベットの歴史
- 第3章 チベットの人権状況
- 第4章 チベットの文化的ジェノサイド
- 第5章 チベット高原の環境悪化
- 第6章 チベットの経済発展の本質
- 第7章 中国によるチベットの都市化
- 第8章 チベット仏教の輪廻転生への中国政府の干渉
- 第9章 中道のアプローチ:前へ進むための道
- 参考文献・資料集
- 訳者あとがき
アジャ・リンポチェ回想録
著/アジャ・ロサン・トゥプテン
訳/馬場裕之 監訳/三浦順子 発行者/川端幸夫
A5判版/514頁/高さ 21cm
定価:2,778円+税
出版社:集広舎
ISBN-10:4904213513
ISBN-13:978-4904213513
発売日:2017/10/15
モンゴル人チベット仏教指導者による中国支配下48年の記録
1950年、チベット島北部オロンノール草原(現中国青海省)のモンゴル遊牧民の家に生まれる、2歳でチベット仏教ゲルク派創始者ツォンカパ大師の父の転生者と認定。
クンブム寺で寺主としての教育を受け、ダライ・ラマ法王14世やパンチェン・ラマ10世からも直接教えを授かった。
文化大革命を経験しながらも、仏典研究や寺院改革に取り組む。
地域の災害対策、伝統医学の継承、初等教育の充実などにも尽力し、モンゴル人、チベット人を問わず広く信仰を集める。
1998年、米国に亡命し「慈悲と智慧のチベットセンター」を創設。
また、ダライ・ラマ法王の長兄タクツェル・リンポチェが創設した「チベット・モンゴル仏教文化センター」センター長も務める。
ダライ・ラマと転生
チベットの焼身抗議 — 太陽を取り戻すために — Self-immolation protests by Tibetans
著/中原一博
A5判/並製/264頁
定価:2,200円+税
出版社:集広舎
ISBN:978-4-904213-32-2 C0031
映画『ルンタ』(池谷薫監督)の理解を深める1冊
今日もまた、愛する人びとが燃えていく――。
“建築家”こと中原一博による渾身のレポート!
2008年~2015年4月までの全焼身者143名の詳細な記録も収載。故郷の解放と法王ダライ・ラマの帰還を叫びながら、自らの身体を〈灯明〉と化し、中国政府の圧政に抗議し続けるチベット人たち。この異常事態はいつまで続くのか?
30年にわたってダラムサラに暮らすひとりの日本人建築家が、焼身者たちの貴重な命の記録として、人びとの最期の訴えと現地の実情を克明に報告する。
中原一博(なかはら・かずひろ)
- 1952年、広島県呉市生まれ。早稲田大学第一文学部仏文学科、理工学部建築学科卒。
インド北部のラダックを旅行中、チベット仏教建築に魅せられ、卒業論文のテーマにしたのが縁で、チベット亡命政府との運命的な出会いを果たす。 - 1985年、専属建築家としてダラムサラに家族とともに移住。亡命政府の庁舎や僧院、学校など、数多くの建築物を手がける。
- 1997年、NGO「ルンタ・プロジェクト」を発足。チベット本土でデモを行い、刑務所で拷問を受けた後インドに逃れた元政治犯の支援を開始する。自ら資金を集め、設計も担当した“ルンタハウス”内で、彼らの学習・就労支援を行う。
- 2008年、チベット全土で抗議活動が湧き起こると「チベットNOW@ルンタ」のサイトを立ち上げ、チベット人の非暴力の闘いを連日のように発信。
- 翌2009年に焼身抗議が始まって以降は全ての焼身者の詳細なレポートを送り続ける。
チベットの秘密
著/ツェリン・オーセル、王力雄 編著/劉燕子
四六判/上製
定価:2,800円+税
発行:集広舎
ISBN:978-4904213179
発売日:2012年11月15日
「野蛮」を照らし返す精神の輝き
民族固有の文化を圧殺された上、環境汚染・資源枯渇など全般的な存在の危機に直面するチベット。北京に「国内亡命」を余儀なくされ、一人のメディアとして創作と発信を続けてきたチベット出身の女性詩人が、闇に隠された「秘密」に澄明な光を当てる。 王力雄「チベット独立へのロードマップ」及び編訳者による「雪の花蕊─ツェリン・オーセルの文学の力」を併録。
私たちは、彼女の詩やエッセイから、廃墟となった古刹、町中にあふれる兵士や警官、地響きを立てて進む戦車や装甲車、狙撃されて倒れる少女、背後に光る目、連行、拷問、投獄、処刑、逃走、抵抗、抗議の焼身自殺等々を読みとることができる。そして、読後には加害者の凶悪な姿か、抵抗者の尊厳ある偉大な姿か、人間としていずれを選ぶべきかと考えさせられる。
このような意味で、オーセルの詩は(中略)ロマンチックなメルヘンでも、さらに政治的な告発でもなく、「野蛮」な暴力の前であまりにも脆く儚い人間を愛惜しつつ、なおまた人間にとって何が大切なのかを照らし出す柔らかで奥深い輝きである。(劉燕子「雪の花蕊」より)
ツェリン・オーセル(茨仁唯色 Tsering Woeser)
1966年、文化大革命下のラサに生まれる。作家・詩人。著書に『西蔵在上』(青海人民出版社、1999年)、『西蔵─絳紅色的地図─』(時英出版社、2003年)、『殺劫』(大塊文化出版、2006年。日本語訳は藤野彰・劉燕子共訳『殺劫─チベットの文化大革命─』集広舎)など多数。2007年「ヘルマン・ハミット賞」、2009年「林昭記念賞」、2010年「勇気あるジャーナリスト賞」などを受賞。
王力雄(わん・りぃしょん)
1953年、吉林省長春市生まれ。作家、民族問題研究者。著書に『漂流』(1988年)、『ダライ・ラマとの対話』(2002年)、『黄禍 新世紀版』(2008年)、『天葬』(増補改訂版、2009年)など多数、日本語訳は『私の西域、君の東トルキスタン』(集広舎、2011年)。2002年「当代漢語貢献賞」、2003年「ヘルマン・ハミット賞」、2009年「真理の光賞」などを受賞。
編訳者:劉燕子(りゅう・いぇんず)
作家、現代中国文学者、桜美林大学北東アジア総合研究所客員研究員。中国北京生まれ。湖南省長沙で育つ。訳書に『温故一九四二』(中国書店、2003年)、『中国低層訪談録─インタビューどん底の世界─』(集広舎、2008年)、『殺劫─チベットの文化大革命─』(集広舎/共訳、2009年)、『天安門事件から「08憲章」へ』(藤原書店/編著訳、2009年)、中国語著書に『這条河、流過誰的前生与后世?』など多数。
チベット仏教からの幸せの処方箋
Dr.バリー・カーズィン 著 / 丸山 智恵子 訳
四六版 186頁 単行本(ソフトカバー)
定価:1800円+税
発行:オープンセンス
編集協力:ヒューマンバリュー総合研究所
ISBN:978-4-903363-15-8
発売日:2011/06/15
アメリカ人であり、医師でもある著者Dr.バリー。
身近な人の死をきっかけにチベット仏教の道に入り、ひとりの僧として生きてきました。
自分の人生を通じて、人生を問い直すきっかけにしてほしい、という想いのもと日本各地で行ってきた講話の一部をまとめました。
ダライ・ラマ法王から30 年近く直接学び、修行を続けてきた著者による、困難に向き合う・正しく対処するための智慧が、ふんだんに散りばめられています。
Dr.バリーのもつユーモアと、本物の仏教の智慧が見事に合わさり、単に読みやすいだけでなく、日本で誰もが体験している、〈新しい現実〉をみつめ、受け入れ、生きていく道しるべ、そして杖となる一冊です。
(序文より)
私たちはどうしたら、永続的な幸せをもたらすことができるのでしょうか。(中略)
私は読者のみなさんが、意味ある人生を送る助けとなるきっかけを本書で見つけるだろうと信じています。 —————ダライ・ラマ14世
- 序 私とチベット仏教との出会い
- 第一部 心の本質
- 第一章 癒して癒される慈悲の心
- 第二章 心の本質にふれる
- 第二部 患者への敬意と尊厳を育てる 医療現場における慈悲の実践
- 第三部 瞑想の実践 心と脳の可能性を拡げる
- 第一章 瞑想を通して育む心
- 第二章 脳科学者による瞑想と慈悲の研究
- 第四部 質疑応答
世界を魅了するチベット—「少年キム」からリチャード・ギアまで
石濱裕美子 著
四六判 並製 259頁
発行:三和書籍
ISBN:978-4-86251-077-8
発売日:2010/04/10
チベットという国家が地図上から消えて短くない時間が経ちましたが、一方で、チベットが含有するその魅力により、国際社会において存在感は増すばかりとなっております。
歴史を通じて西洋社会は、サイード(「オリエンタリズム」著者)が言うように、自らの内部としてもたない「異質な」本質とみなしたものを東洋に押し付けることによって自らを規定してきました。19世紀における西洋のチベットイメージはオリエンタリズムの範疇を脱するものではなかったのかもしれません。しかし、1959年に国を失ったチベット僧に西洋社会が出会い、その普遍的な性格に魅了され、深く学ぶにつれて、チベット・イメージにオリエンタリズムの介在する余地はなくなることとなります。
本書は20世紀初頭の、『少年キム』から始まり、現在の音楽、ハリウッド映画に至るまでチベットを扱う様々な文芸作品を通じて、また、チベット文化に開眼した学者や文化人達の姿を通じて、チベット文化の普遍性と欧米社会に与えた善の影響について見ていくものであります。チベット文化に精通した歴史学者である著者が捉える視点には、オリエンタリズムにもオクシデンタリズムにもよらない深さがあり、一級の文化案内としても楽しめます。
本書を読むことによって、チベット文化に体当たりでぶつかり、そこから学ぼうとする欧米社会の姿勢を目の当たりにし、仏教徒と言われる私たち日本人に足りないものとは何かを改めて考えさせられます。
- 序論 チベット仏教の普遍的性格─モンゴル人・満洲人から西洋人まで
- 第1部 小説の中のチベット─20世紀前半のチベット・イメージ
- 第2部 現代欧米社会とチベット仏教
- 結論 チベット文化が現代に持つ意味
- 西洋とチベットの関係年表/関連文献
殺劫(シャーチェ)チベットの文化大革命
ツェリン・オーセルツェリン(著)ドルジェ(写真)藤野彰/劉燕子(訳)
A5判並製 412頁 単行本(ソフトカバー)
定価:4,830円
発行:集広舍
ISBN:978-4904213070
発売日:2009/10/26
チベット「封印された記憶」の真実—。
長年の間、厚い秘密のベールに覆われていたチベットの文化大革命の実体を詳細に明らかにした写真・証言集。原著者は北京在住の著名なチベット人女性作家、ツェリン・オーセル氏で、彼女の父親ツェリン・ドルジェ氏(故人)が文化大革命中にラサ市内などで撮影した数百点に上る貴重な現場写真を元に、取材・執筆をした歴史ノンフィクション。
チベット問題の過去・現在・未来を展望する上で、決して避けて通ることが出来ない歴史事件が、チベットの伝統文化や宗教を徹底的に否定・破壊した「文化大革命」。
それはすでに終わってしまった出来事ではなく、チベットで現在進行中のさまざまな問題や矛盾と底流で繋がっている。
オーセル氏は記録写真という疑いようのない事実と、地を這うような裏取り取材によって「封印された記憶」を掘り起こし、次世代へと伝えていく礎を築いた。
日本に於けるチベット理解促進の願いを込めて、ついに日本語翻訳出版が実現。
原作者ツェリン・オーセルはいう。
「何千何万のチベット人が払った気高い犠牲が、北京五輪の見せかけの繁栄に呑み込まれた。作家は発言しなければばらない。著述とは祈ることであり、 証人になることである」と。
- 序——ツェリン・オーセル
- 序——王力雄
- 写真について——ツェリン・オーセル
- 日本の読者へ——日本語版序
- 第一章 「古いチベット」を破壊せよ——文化大革 命の衝撃
- 第二章 造反者の内戦——「仲の良し悪しは派閥で 決まる」
- 第三章 「雪の国」の龍——解放軍とチベット
- 第四章 毛沢東の新チベット——「革命」すなわち 「殺劫」
- 第五章 エピローグ——二〇年の輪廻
- 参考文献
- 解説 チベットの文化大革命——現在を照射する
- 歴史の闇 藤野彰