チベットの環境問題

核基地

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チベットに核基地と核兵器工場のあることは、これまでもたびたび報道されている。伝えられるところによると、中国は「青海省海北チベット族自治州」のダシュ(中国名=海晏)とアムドのトルコン(中国名=湟源)に核製造センターをもつという。

ダシュに中国初の兵器研究所が建設されたのは、60年代前半だった。『核とチベット』によれば、その施設はココノル湖[中国名=青海湖]のそばにあり、「西北核兵器研究所」−あるいは第9事務局の管轄下にあることから「第9研究所」−の名前で知られている。

その研究所は、中国の核開発計画のなかでも最高機密に属し、今日なお、重要かつ警備の厳重な軍需研究所として存在する。70年代の半ばまでは、中国の核爆弾の設計を一手に担っていたほか、破壊力の向上や放射線化学など、核兵器に関する多くの研究をリードしてきた。また、そこでは核兵器の組み立て作業も行われていたという。

ココノル湖の南とナクチュの北西には、ミサイル基地がある。

前掲の『核とチベット』によると、チベットに核兵器が最初に持ち込まれたのは1970年で、核兵器は北アムドのツァイダム[柴達木]盆地に設置されたという。現在、中国はおよそ300発〜400発の核弾頭を保有しているが、そのうち数十発がチベットにあるといわれている。中国の地上型核ミサイルはどこにでも運ぶことができ、またトレイラーからも発射ができるため、格納場所やその保有数を特定するのが難しい。

中国はダシュの東に、DF−4(中国初の大陸間弾道弾)用の核ミサイル格納庫と発射基地とを、70年代前半に作っている。前出の報告によれば、ツァィダム大基地では、発射台近くの水平トンネルに2基のミサイルが眠っているという。燃料と酸化剤(燃料強化剤)も、発射台に続く別々のトンネルに保管されている。ツァィダム小基地も、おそらく大基地と似た構造になっているのではないかと思われる。

チベットの核ミサイル基地は、このほかツァィダム大基地の南東約200kmにあるデリンハにもある。ここにもDF−4が配備され、4つの発射基地を受けもつアムドのミサイル連隊司令本部が置かれている。アムドには核兵器を扱う新設の部隊もあり、そこにはCSS−4ミサイルが4基配備されているという。このミサイルは約13,000kmの射程距離をもち、アメリカ、ヨーロッパそれにアジア全土を攻撃する能力がある。

1988年、中国はチベットで軍事演習を行った。同年9月16日付の『解放軍報[人民解放軍機関紙]』は、これを「新兵器を高地で試用することを目的とした化学防衛大演習」と評している。またタス通信は、1982年7月3日、「中国はチベットの数カ所において核実験を行い、地域住民の放射レベル測定に利用している」と伝えている。


チベット亡命政権情報国際関係省1992年発行
「チベット環境と開発をめぐって」より

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